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住宅ローンはいくらまで大丈夫?ライフプランから逆算する失敗しない借り方入門

「そろそろ家が欲しい。でも、住宅ローンの仕組みがよく分からない」
「毎月いくらまでなら、無理なく返していけるんだろう?」

家の購入を考え始めた方から、私が千歳の店舗で最もよくいただくご相談です。

住宅ローンは、多くの方にとって人生で一番大きな借入です。金額が大きいからこそ「よく分からないまま契約するのが怖い」と感じるのは、とても自然なことです。この記事では、宅建士・行政書士・FP(ファイナンシャルプランナー:家計とお金の専門家)の資格を持つ筆者が、住宅ローンの基本と「安心して組める額」の見つけ方を整理します。

この記事で分かること

  • 住宅購入に使える「3つのお金」と、自己資金・頭金の考え方
  • 住宅ローンを選ぶときの4つの視点(借入額・返済期間・金利タイプ・誰が借りるか)
  • 借入時の諸費用と、申込みから融資までの流れ
  • ライフプランニングから「安心して組める額」を逆算する方法

まず全体像から。住宅購入に使えるお金は「3つ」ある

住宅ローンの話に入る前に、住宅購入の資金全体を整理しましょう。使えるお金は大きく3つに分けられます。

区分 内容
① 現金(自己資金) 自分たちで用意するお金 預貯金、親や祖父母からの援助資金
② 借入金 金融機関から借りるお金 住宅ローン、つなぎ融資
③ 国の支援 負担を軽くしてくれる制度 住宅ローン控除、各種補助金

①+②が「支払いのために用意するお金」、③が「支払いを軽くするお金」です。住宅ローン(②)だけを見て予算を考えると、諸費用の支払いに困ったり、使えたはずの制度(③)を取りこぼしたりします。3つをセットで考えることが、資金計画の第一歩です。

参考までに、国土交通省の「住宅市場動向調査」(令和4年度)では、新築注文住宅を取得した世帯の8割超が住宅ローンを利用しています。ほとんどの方がローンを組んで家を買っているわけですから、「借金が不安」というより「上手な借り方を知る」ことが大切だといえます。

「自己資金」と「頭金」は違います。現金はいくら必要?

自己資金と頭金の違い

この2つの言葉、混同されがちですが意味が違います。

  • 自己資金:住宅購入のために使える現金の総額(預貯金+親族からの援助など)
  • 頭金:自己資金のうち、諸費用を支払った残りで物件価格(土地+建物)に充てるお金

図にするとこうなります。

自己資金(用意できる現金の総額)

諸費用の支払い
登記費用・ローン手数料・税金など
頭金
物件価格に充当

頭金 + 住宅ローン = 物件価格(土地+建物)

「頭金ゼロ」でも家は買える。ただし「現金ゼロ」とは別の話

結論からいえば、頭金が0円でも住宅ローンを組める商品は一般にあります。

ただし、注意したいのは諸費用です。登記費用や融資手数料などの諸費用は、原則として現金で支払うものと考えてください。金融機関によっては諸費用込みで借りられる場合もありますが、物件の担保価値(万一のとき売却して回収できる価値)を超える借入となり、返済負担や売却時のリスクが高くなるため、慎重な検討が必要です。

つまり、「頭金0円で買える」=「預貯金0円で買える」ではないのです。

用意する現金の目安と、手元に残すお金

項目 一般的な目安
頭金 物件価格の10〜20%程度
諸費用 物件価格の3〜10%程度(新築か中古かで変動)

ただし、預貯金をすべて使い切るのは避けましょう。次のお金は手元に残しておくのが安心です。

  • 生活費の6か月分程度の緊急予備資金
  • 近い将来の教育資金・車の買い替え資金
  • 北海道の場合、冬の暖房費や除排雪費用も年間の家計に織り込んでおくと安心です

親からの援助には「贈与税」の注意点も

親や祖父母からの援助資金には、本来は贈与税がかかります。ただし、住宅取得のための贈与には一定額まで非課税となる特例(住宅取得等資金の贈与税非課税制度)があります。適用期限・非課税枠・住宅の性能要件は税制改正で変わるため、利用前に最新情報の確認が必要です(要確認:国税庁HP)。

行政書士・FPの立場から一言添えると、「もらってから考える」のではなく「もらう前に相談する」のが鉄則です。受け取り方を間違えると、思わぬ税負担が生じるケースがあります。

住宅ローン選びの4つの視点

住宅ローンは「借入額」「返済期間」「金利タイプ」「誰が借りるか」の4つで決まります。順に見ていきましょう。

視点 1借入額:「借りられる額」ではなく「返せる額」から決める

ほしい物件の価格に合わせて借入額を決めるのはおすすめできません。新生活が節約と返済に追われてしまっては本末転倒です。

一般に、無理のない返済の目安は毎月の返済額が世帯年収の20%以下(手取りベースなら25%以内)といわれます。

◆ 例:千歳市在住のBさんご夫婦(世帯年収600万円)の場合

600万円 × 20% ÷ 12か月 = 月10万円 が返済額の目安

この月10万円から借りられる額を逆算すると、次のようになります(元利均等返済・ボーナス払いなしの概算)。

金利 借入可能額の目安(35年) 借入可能額の目安(25年)
年1.0% 約3,500万円 約2,650万円
年1.5% 約3,250万円 約2,500万円
年2.0% 約3,000万円 約2,350万円

※金利・審査条件により変動する概算値です。

同じ月10万円でも、金利と期間によって借りられる額が500万円以上変わることが分かります。だからこそ「毎月いくらなら返せるか」を先に固めることが重要なのです。

なお、年収20%はあくまで目安です。より実態に近づけるには、現在の家賃+住宅用の積立額−購入後の維持費(固定資産税・暖房費・メンテナンス費など)から毎月の返済可能額を出す方法もあります。ケースによって適正額は変わるため、家計の実数で確認しましょう。

視点 2返済期間:長く借りて、短く返すのが基本戦略

住宅ローンの返済期間は一般に最長35年(商品によっては40年、フラット50は最長50年)です。完済時年齢はおおむね80歳までとされるため、35年ローンを組めるのは実質45歳頃までとなります(金融機関により異なります)。

  • 期間を長くする → 月々の負担は軽いが、総利息は増える
  • 期間を短くする → 総利息は減るが、月々の負担は重い

押さえておきたいのは、返済期間は途中で縮めること(繰上返済)はできても、延ばすことは原則できないという点です。まずは長めに設定して月々に余裕を持たせ、家計に余力があれば繰上返済で短縮する、という順番が一般に安全といえます。

視点 3金利タイプ:予測ではなく「変動に耐えられるか」で選ぶ

金利タイプは大きく3つです。

金利タイプ 仕組み メリット 注意点
全期間固定型 完済まで金利が変わらない 返済額が確定し計画が立てやすい 変動型より金利は高め
固定期間選択型 当初の一定期間だけ固定 教育費のかかる期間だけ返済額を確定できる 固定期間終了後の返済額が読めない
変動型 半年ごとに金利を見直し 金利が低い 金利上昇時に返済額が増えるリスク

「固定と変動、どちらが得ですか?」というご質問をよくいただきますが、将来の金利を正確に予測できる人はいません。日銀の政策金利の動向により、近年は変動金利にも上昇の動きが見られます(要確認:最新の金利水準は各金融機関HP)。

選ぶ基準は損得の予想ではなく、「金利が上がったとき、わが家は対応できるか」です。

◆ タイプ別・向いている方の目安

  • 固定型が向く方:返済額の変動が不安、教育費などの支出増を控えている
  • 変動型が向く方:預貯金に余裕があり、金利上昇時に繰上返済などで対応できる
  • 固定期間選択型が向く方:育休・進学など一定期間だけ支出や収入減が読めている

「予算が足りないから低金利の変動で枠を広げる」という選び方は、金利上昇時に家計が耐えられなくなるおそれがあり、おすすめできません。

視点 4誰が借りるか:共働き世帯は3つの組み方を比較

組み方 仕組み 特徴
単独ローン 夫婦の一方だけが借りる 手続きがシンプル。借入枠は1人分の年収で決まる
ペアローン 夫婦がそれぞれローンを組む 借入枠を増やせる。諸費用は2本分かかる
収入合算 2人の収入を合算して1本のローン 連帯債務型と連帯保証型があり、住宅ローン控除の扱いが異なる

夫婦の収入を合わせれば借入枠は広がります。ただし、出産・育児・転職などで収入が変わる可能性がある場合は、それを見込んだ計画にしておくことが大切です。「借りられる最大額」で組んでしまうと、ライフイベントのたびに家計が苦しくなりかねません。

借入時にかかる諸費用と、申込みから融資までの流れ

主な諸費用

費用 内容 目安
融資手数料 金融機関への事務手数料 定額型:数万円程度/定率型:借入額の2.2%前後
ローン保証料 保証会社への支払い 借入額・期間により数十万円になることも。不要(0円)の商品もあり
印紙税 ローン契約書に貼付 借入1,000万円超5,000万円以下で2万円(電子契約なら不要)
登記関連費用 抵当権設定の登録免許税+司法書士報酬 税率や報酬額は条件により変動(要確認)

注意したいのは、「保証料0円」でも手数料が定率型で高額になるなど、名目が違うだけで総額はあまり変わらないケースがあることです。個々の項目ではなく、諸費用込みの総返済額で比較しましょう。

申込みから返済開始までの5ステップ

STEP 1事前審査(仮審査)

借りられるか・いくらまでかを金融機関が簡易判定します。複数行への申込みも可能で、結果は数日〜1週間程度が目安です。事前審査をしたからといって必ず借りなければいけないわけではありません。

STEP 2本審査

正式な申込みです。借りる人と物件についてより詳しい審査が行われます。結果まで10日〜2週間程度が目安です。

STEP 3契約

金銭消費貸借契約(住宅ローンの契約)と、抵当権設定契約などをあわせて締結します。

STEP 4融資実行

借入金が入金され、物件代金を支払い、所有権移転・抵当権設定の登記手続きへ進みます。

STEP 5返済開始

引き渡しを受け、いよいよ新生活と返済のスタートです。

なお、注文住宅の場合は建物完成前に着工金・中間金などの支払いが発生するため、「つなぎ融資」や「分割融資」の検討が必要になることがあります。取り扱いは金融機関ごとに異なるため、土地の契約前に確認しておくと安心です。

国の支援を忘れずに。2026年の住宅ローン控除のポイント

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、年末のローン残高×0.7%を、所得税(引き切れない分は住民税の一部)から最長13年間差し引ける制度です。2026年度税制改正により、適用期限は2030年末入居まで延長される方針が示されています。

◆ 2026年の主なポイント(要確認:詳細は国土交通省・国税庁HP)

  • 新築は省エネ基準適合が必須要件。基準を満たさない新築は控除対象外
  • 借入限度額は住宅性能で異なる(例:2026年入居の新築で、認定長期優良住宅4,500万円、省エネ基準適合住宅2,000万円。子育て世帯・若者夫婦世帯は上乗せあり)
  • 省エネ性能の高い中古住宅は控除期間が10年→13年に拡充される見込み
  • 初年度は確定申告が必要(会社員も同様。2年目以降は年末調整で対応可)

制度は毎年のように見直されるため、「いつ入居するか」「どんな性能の家を選ぶか」で控除額が数十万円単位で変わることがあります。控除をあてにしすぎない資金計画にしつつ、使える制度は確実に使う、というバランスが大切です。

このほか、省エネ住宅への補助金など国・自治体の支援策もあります。募集期間や予算枠が年度途中で終了することもあるため、最新情報の確認をおすすめします(要確認)。

結局いくらなら安心?答えは「ライフプランニング」にあります

ここまで、借入額・期間・金利・名義の考え方を見てきました。お気づきかもしれませんが、どの項目も最後は同じ結論にたどり着きます。

自分たちに合う住宅ローンは、自分たちの人生設計からしか導けない、ということです。

ライフプランニングとは、出産・進学・車の買い替え・退職といった人生のイベントを時系列に並べ、将来の収入と支出を「見える化」する作業です。FPが行うキャッシュフロー表の作成では、たとえば次のようなことが分かります。

  • 子どもの教育費がピークになる年に、家計はいくら残るか
  • 金利が1%上がった場合、老後資金にどう影響するか
  • 「買える額」ではなく「買っても人生が回る額」はいくらか

数字で確認できると、「なんとなく不安」が「ここまでなら大丈夫」という具体的な安心に変わります。住宅ローンで後悔する方の多くは、ローン単体で判断し、その後の教育費や維持費(北海道なら暖房費・除雪費も)を織り込んでいなかったケースです。

家探しの前にライフプランニング。この順番が、後悔しない住宅購入への近道だと私は考えています。

まとめ:住宅ローンは「返せる額」から逆算する

  • 住宅購入のお金は「現金・借入・国の支援」の3本立てで考える
  • 頭金0円でもローンは組めるが、諸費用は現金が原則。預貯金は使い切らない
  • 借入額は「借りられる額」ではなく「毎月返せる額」から逆算する
  • 金利タイプは損得予想ではなく「金利上昇に耐えられるか」で選ぶ
  • 住宅ローン控除などの支援策は毎年変わる。最新情報の確認を
  • すべての判断の土台は、ライフプランニングによる家計の見える化

「うちの場合はいくらまで安心?」「固定と変動、どちらが合っている?」——ここから先は、お一人おひとりの家計と人生設計によって答えが変わります。

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